奴のとなり
誰か、助けて!!
ダメなの、何がなんて分かんない。
でも心がはっきり叫んでるんだよ!!
泣きたいのを必死で我慢して、
あたしは家のドアを開いた。
「離・・・してっ」
辛うじて絞り出した声は、
奴に伝わったのか、奴の手が離れる。
あたしはそのまま、家に飛び込んだ。
誰も居ない静かな家。
あたしはここが嫌い。
お母さんは大好き。
でも、そういうことじゃない。
閉めたドアに凭れかかるように、
あたしはずるずると崩れおちた。
体をぎゅっと抱きしめた。
小さく震える体が
自分のものに思えないくらい冷たい。
落ち着くまで、ここにいるしかない。
足が動きそうもないから。
じっと治まるのを待っていた。