奴のとなり
あたしは窓際の自分の席に座ると、
外を眺めた。
朝練をしている生徒がちらほら。
ゆっくり時間は流れて、
登校してくる生徒が目に付き始めた。
そしていつも奴と登校してた
時間がやってくる。
自然と目は奴を探してる。
あいつなんてって思ってるくせに。
「あっ」
面倒くさそうに歩く奴を見つけた。
こんな時でも
あたしと行く時間に
来ている事が嬉しい。
一樹桃矢一人なら、
遅刻ギリギリに来るだろうに。
奴の生活の一部になれてることが
あたしの心を温かくする。
奴は門のところで立ち止まると、
顔を上げた。
目が合った気がした。
きっと気のせいなんだけど、
ただそんな気がして仕方ない。