奴のとなり
二人はやっぱり話していて、
やっぱり普通だった。
一番目にしたくない二人。
何を話してるかまでは分からない。
でも、ここもあたしの場所じゃなくなった気がして、
あたしはまた逃げ出した。
「ほんと、居場所ないな・・・」
ぽつりと口から零した言葉に、悲しくなる。
周りが幸せに包まれてるから、
余計に惨めな気持ちになる。
家に居ても仕方なくて、
でも何処にも行けなくて、
ぶらぶらとあても無く歩く。
今日どうしよう・・・。
一人で何も無い時間を過ごすと、
時計は進める速度を緩める。
それに苛立ちながら、
それでも、奴には連絡できない。
宛ても無く歩いてると、
全く知らない場所に出て、見たことも無い建物しかない。