奴のとなり



「おまえ、
こんな真冬に何してんだよ!!」



奴にしては
珍しく声を荒げていて、
折角自由になったのに、
また体は強張る。



「・・・なんで?」



「あっ!?」



「なんで・・・、来たの?」



「訳わかんねぇ」



奴は呆れきってて、
自分の着てる物を脱いで
あたしに掛ける。



奴の匂いがする。



それにとっても安心する。



奴は何を話すでもなく、
あたしの手を引いて歩き出した。



ぐいぐい引っ張るもんだから
腕が抜けそうに痛い。



連れて行かれた先は
ケイちゃんちだった。



びしょ濡れのあたしを見て、
ケイちゃんのおばさんは驚いてて、
慌ててタオルを取りに走った。



厨房で、何でかケイちゃんを発見した。



小指と一緒にいるはずなのに、
何でからーめんをせっせと作ってる。










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