奴のとなり
観念して話すことにしたけど、
何を話せばいいかさっぱり。
だって、
あたしの中で
モヤモヤは確かに存在してるけど、
形に出来てないんだもん。
それにとっても汚い感情だし。
話して奴に笑われでもしたら、
殴っちゃいそう。
「話しても笑わない?」
「あぁ」
「笑ったら殺すよ?」
「あぁ」
奴の目は至って真剣で、
あたしも腹を括らなきゃってなる。
「なんかね・・・、
小悪魔さんといる一樹桃矢が普通だったの。
で、
黒いのがモヤモヤって膨れて、
泣きたくなった」
「あぁ」
「だって今まであたしだけだったのに!!
小悪魔さんの名前まで知ってるし、
良い奴だって言うし。
そりゃ小悪魔さんはいい人だけど、
でも・・・!!」
「あぁ」
「で、
飛び出したら飛び出したで
迷子になっちゃうし、
ナナミさんに迷惑掛けちゃったし」
「・・・」
「で、
目が覚めたら朝で、
送ってもらったら一樹桃矢がいたっていう・・・」
「泊まったのか」
「まぁ」
「・・・」