奴のとなり
「桜」
柔らかい、不器用な声が振ってきて、
そこからはキスの嵐。
奴と口をくっつけるのは嫌いじゃない。
でも、嵐はあたしの酸素を奪い、
しかも空気吸えないっつの!!
息がしたくて、生きていたくて、
あたしは奴の胸を強く叩く。
それでも敵わない。
やっと自由になったと思えば、
少し酸素を吸ったところでまた塞がれる。
奴はあたしを殺ってしまいたいらしい。
あたしは諦めて、
叩き続けていた手を緩めると、膝元に落とした。