奴のとなり
奴は
あたしの頬にゆっくり触れる。
目がいつものじゃなくて、
真剣であたしのことを一緒に考えてくれてる。
少しの沈黙の後、
奴はゆっくりとあたしの目を見たまま
話し出した。
「神崎、
いや閻魔・・・いや小悪魔だっけか。
あいつとは別に何でもない。
ただお前のダチだから話してた。
あいつもそんな気ねぇよ、
お前の話ばっかりだったから」
「・・・」
「お前のことだから、
図書室も来ただろ?
あれもお前を待ってた。
そこでお前を心配してた小悪魔が来て、
一緒にお前を待ってた。
まぁお前は来なかったけど」
「・・・」
「お前にキレられるは、
変な勘違いされるは・・・。
かと思えばナナミんとこ泊まってるし」
「・・・ごめん」
「怒りたいのは、キレたいのは俺だ」
「・・・うん」
「そんなに俺のこと好きか」
「はっ!?」
「全く
天然桜ちゃんは扱いにくくて面倒だな」
「天然じゃねぇよ」
「はいはい」