奴のとなり



それから、
あたしの耳元に近づくと、


「こりゃあ面白くなるで」


と本当に嬉しそうに笑った。



まぁ、
全く意味分からないんだけどね。



二人とも楽しそうで、
あたしだけやっぱり放ったらかし。



やっぱり全く解決してないんですけど。



もう聞くに聞けなくて、
もう頼れるのはナナミさんだけだって思った。



気まずいけど、
この間の返事もあるし、
聞きたいこともたくさんある。



後でナナミさんとこに行ってみないと。



日が傾いて、アスファルトを赤く照らす。



赤く染まった空に烏が影を落としながら飛んでいく。



あたしは家路を歩いていた。



隣には一樹桃矢。



一人でいいって言ってんのに、
奴は送ると言ってきかなかった。











< 252 / 555 >

この作品をシェア

pagetop