奴のとなり
それから、
あたしの耳元に近づくと、
「こりゃあ面白くなるで」
と本当に嬉しそうに笑った。
まぁ、
全く意味分からないんだけどね。
二人とも楽しそうで、
あたしだけやっぱり放ったらかし。
やっぱり全く解決してないんですけど。
もう聞くに聞けなくて、
もう頼れるのはナナミさんだけだって思った。
気まずいけど、
この間の返事もあるし、
聞きたいこともたくさんある。
後でナナミさんとこに行ってみないと。
日が傾いて、アスファルトを赤く照らす。
赤く染まった空に烏が影を落としながら飛んでいく。
あたしは家路を歩いていた。
隣には一樹桃矢。
一人でいいって言ってんのに、
奴は送ると言ってきかなかった。