奴のとなり



こっそり奴の手を見る。



ポケットに突っ込まれてる。



あたしは変態なのか、
今凄く奴に触りたい。



そわそわしてると、
奴が訝しげにあたしを見る。



ダメだ、
ドキドキしちゃうじゃんか。



出しかけた手を引っ込めて、
あたし達はゆっくり、
いつもよりゆっくり歩いた。



ちょっとだけ、
ちょっとだけ
時間が止まればなぁ
って思うんだけど、
まぁ口には出せないよね。



こっそり携帯を取り出し、
また二人の影を写真に写した。



幸せな時間を切り取るために。










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