奴のとなり
3.モヤモヤの名前
穏やかな音楽と、
少し暗めの暖かい照明。
カウンターには
いつもと変わらずナナミさんが立っていて、
果物を切ってる。
切り終えた果物を
あたしの前に差し出すと、
ナナミさんはにっこりと微笑んだ。
「こんな日に、
一人でこんなとこ来て、
あいつに怒られるよ」
そういうナナミさんんは愉しそうで、
言ってることと表情が正反対。
「一樹桃矢とは
これから会うんだけどね。
今日は聞きたいことと、
言いたいことがあったの」
「それは怖いな」
乾いた笑い声を漏らすと、
ナナミさんは飲み物も出してくれた。
今日はクリスマス。
ここも心なしか飾り付けられてて、
控えめで上品な飾りつけが施されてる。