奴のとなり
「綺麗だね」
「あぁ、クリスマスだしな。
ちょっと便乗してんだよ」
「便乗って」
ゆったり流れる時間の中で、
あたしの声と、ナナミさんの声はひっそりと響いた。
あんなことを言われた後だし、
会うの気まずいな。
なんて思ってたんだけど、
会ってみればスーパーナナミさんな訳で、
気まずさなんて
一つも感じさせない見事な振る舞い。
やっぱり大人なんだなぁ
なんて一人感心してた。
何も話さない。
それは気まずさじゃなくて、
それでも心地いい。
まぁ、
あたしは一人ソワソワしてんだけど。
返事はいつするか、
聞きたいことをどのタイミングで聞くか。
あたしは
冷たい林檎ジュースをぐいっと飲んだ。