奴のとなり



「おいおい、
酷いこと考えてない?」



くすくす笑いながら、
傷つくなぁっ
て眉毛をハの字にして、
ナナミさんは笑う。



彼なりの気遣いなんだろう。



「・・・ごめんなさい。
ナナミさんはかなり、
いや、超越的に素敵なんですけど、
何だか奴の隣に居たいみたいなんです。
あんな奴って思ってるのに・・・」



「それが
惚れてるってことなんじゃない?」



「惚れっ!?
いやっ、まさか!!奴ですよ!!?
つんけんして可愛くないし、
ぶっきらぼうだし。
そりゃ少しは優しい所もあるし、
たまに可愛いなんて思うこともあるけど・・・」



「今振った男の前で、
彼氏の惚気は酷だなぁ」



そう言って、
嬉しそうな顔をしてる。



ナナミさんは
一樹桃矢のことを大事に思ってるらしい。



そんなナナミさんは素敵だ。










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