奴のとなり
しばらくして、
廊下を競歩のような早さで歩く彼を見つける。
彼が通った後は
風が乱れるぐらい早い。
「ふはー！あいつやっと来たか！」
声を潜めて、
前にいる男は意地悪く、
それでいて楽しそうに笑った。
どうやら、
一樹桃矢と知り合いらしい。
一樹桃矢はというと、
あたしの教室に入って行くと姿が見えなくなった。
彼は変わらず楽しそうに笑っている。
声をかけようとしたとき、
教室のドアが勢いよく開き、
ものっすっごく怖い顔した奴が入ってくる。
思わず、
ひっ！
っと小さな悲鳴が漏れてしまった。
一樹桃矢は、
ぎろっとあたしたちを睨みつけ、
「殺す」
と物騒なことを呟いた。
