奴のとなり



「・・・何、企んでる」



背筋が凍るような声で、
思ってもみなかった声で、
あたしの心臓は小さく縮む。



「どうして・・・?」



恐る恐る聞き返してみても、
奴の反応は無い。



予想外すぎた。



そりゃ


「俺も好きだ」


なんて期待してないけど、
奴なら喜んでくれると思ってた。



なのに、
突き放すような、拒絶するような声。



そんな声が聞きたくて、
あたしは自分の気持ちを伝えたんじゃない。



「あたしはただ・・・、喜んでくれないの?」



思わず泣きそうな声になる。



それを悟ったのか、


「悪い」


と小さな声が耳に届く。










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