奴のとなり
ぶつぶつ言いつつ、
奴はあたしを見放したりしなかったし、
話すとなったらきちんと話を聞いてくれた。
だから、素直になれないあたしなんかでも、
奴の隣に居続けることが出来たんだと思う。
今度はあたしが奴のために何かする番。
「こんにちはー」
‘らーめん くろちゃん’
の暖簾を潜り、中に居る二人に挨拶する。
おばさんはとっても嬉しそうな顔で、
「いらっしゃいっ!!」
って大きな口で笑う。
おばさんの笑顔はほっとする。
来たのはあの日以来だから、
あたしはちょっと気まずかったりするんだけど、
おばさんはどんなときに来ても、
いつも変わらず暖かく迎えてくれる。
あたしにとって、第2の家みたい。