奴のとなり

いつの間にか、涙が頬を伝っていて、
あたしはケイちゃんに拭われてやっとその存在に気づいた。



あいつのことになると、
あたしは涙もろくなる。



結構強いと思っていたのに、
それが崩される。



あたしが泣き止むのを待っていたのか、
ケイちゃんは黙っていた。



どれくらい経ったのか分からないけど、
涙は出っ放しってことはない。



いずれは止まる。



止まったのを見て、
ケイちゃんは口を開いた。



「一樹は女を信じてへんねん。
いや、信じてなかったって方が正しいか」



「･･･？」



「いっつも女おるの知っとるやろ？
それも長く続かん奴ばっかりな」



「･･･うん」



「あいつ、モテるけど、
それは見た目ってとこが大きいねん。
中身なんか関係なし！
だって、話したことない奴らばっかやもん」