奴のとなり
いやいや、ケイちゃん
・・・なんかケイちゃんが
あたしのことを好きみたいになってますよ。
ケイちゃんの知らないところで。
もう何て返していいか分からなくて、
あたしは愛想笑いを顔に貼り付ける。
今から出陣だってのに、出鼻を挫かれたかんじ。
でも余計に入っていた力が抜けて
丁度いいのかもしれない。
「ありがとうございます」
不思議がるおばさんを横目に
あたしは暖簾を潜る。
ドアを閉めると同時に、
「頑張るんだよ!!」
っておばさんの叫ぶ声が聴こえた気がした。
ありがとう。
ほんと、たくさんの人に支えてもらってる。
あたしの心の中は今、勇気でいっぱい。