奴のとなり



「何、違うこと考えてんだ」



目と目を合わせてただけなのに、
あたしの意識が逸れてたことを気づかれた。



「そんなことないもん」



「ふーん」



それより、手を離して欲しい。



結構この体勢は恥ずかしいんですが・・・。



あたしは必死の抵抗を試みる。



でも、奴の力は男の子なわけで、
一応あたしも女の子なわけで。



「ちゃんと話すから、お前もちゃんと聞け」



「はい」



素直に返事して気づいた。



確か、あたしが怒ってたはず。



奴がむしろ、あたしに謝る立場なはず。



なのに、いつの間にやら立場が逆転してる。











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