奴のとなり
「だから聞けって」
「すみません」
いや、ここはあたしが悪い。
だから・・・、ね。
それに奴の声が低くて怖い声から、
少しずつあたしの好きな声に変わってるから、
もう文句は言わない。
奴は気まずそうにあたしから目を逸らすと、
ぽつりぽつりと言葉を零す。
「桜があいつらと違うって分かってた。
けど、言っちまったもんは取り消せない。
ほんとに悪かった」
「うん」
「桜が傷ついてるって分かってけど、
俺も混乱してた。
あの後会うのが怖くなった」
「うん」