奴のとなり
「-桜?」
躊躇いがちな声。
分かってる。
言いたいことはね。
でも、
あたしもいっぱいいっぱいな訳ですよ。
「悲しくて泣いてる訳じゃないから!」
あたしは言えることだけ言うと、
少しずづ体を動かした。
奴は状況を理解したのか、
「はっ」
っと短く笑うと、あたしを抱き寄せる。
「い゛っ!!!?」
「・・・悪い」
「動かさないで!」
「あ、ああ」
痛がるから離そうとした奴を、
あたしは急いで止めた。
だって、痛いから、もう動かさないで欲しい。