奴のとなり
3.あたしは気にしないよ
幸せ。
さっきまで硬い床の上に座ってたから、
羽毛の感触がこんなに快適だなんて知らなかった。
あたしの目の前には
奴の顔がこれでもかって程近くにある。
今まで、
そりゃあキスだの抱き合ったりだの
したんだから、
顔が近いっていうか、くっついたことは多い。
でも、こんなに長い時間見つめ合うってことは
なかった気がする。
それに、背筋がぞくりとする。
これから起こる何かってヤツに。
不思議と恐怖も不安も無い。
それは奴の目が温かくて
真剣だからなのか、
奴の手があたしの頬を撫でるからなのか。
理由は何でもいい。
ただ、安心した。