奴のとなり
「疲れた」
そう言って、手を曲げ、
あたしの肩元に頭を置く形で倒れこむ。
体が奴の重みで圧迫されて苦しい。
それでも、その重みは嫌いじゃない。
むしろ心地いい。
あたしは奴の背中に手を回し、少し力を入れた。
「なんだ、誘ってんのか」
そう言って、
小さな笑いを漏らす。
奴の嬉しそうな声が
あたしの心を加速させた。
ただぎゅってしたくなった。
もっと近くに居たい。
だけど、これ以上はどうしても無理で、
あたしはもどかしい気持ちになった。