奴のとなり
あっ。
来た。
校則が厳しめの学校にはそぐわない着崩された学ラン。
背は悔しいけど180以上ある。
160ギリギリのあたしからしたら羨ましい。
少し長めの黒髪は
無造作にセットされている。
切れ長の目は無関心そうで、
すっと通った鼻筋と、
端が滅多に上がらない口、
これらが彼を無関心で冷たそうに見せる。
それなのに
腕には可愛い女の子が手を絡ませている。
彼を知ったのは1学期。
誰とも話をしないあたしだけど、
さすがに噂は勝手に耳に飛び込んでくる。
「次の彼女は1週間もたないんじゃない」
「美香も好きらしいよ」
「今日もかっこいいよねぇー」
どれもくだらない噂。