奴のとなり
彼女は本来落ち着いた人なのか、一呼吸してから周囲を見渡し恥ずかしそうに俯いた。
「ごめんなさい・・・。でも、私にとっては大事なことだったの」
「・・・?」
「どこかで話さない?ここじゃ目立っちゃったし」
こくりと頷いた。
興奮してるときは、はっきし言って怖いと思ったけど、今は嫌いじゃない。
この人なりに何か追い詰めているのかもしれないし。
あたしと、この人はお店を後にして、近くにあるカフェに腰を落ち着けた。
「さっきは本当にごめんなさい」
彼女はあたしに深々と頭を下げた。
やっぱり普段の彼女は落ち着いた雰囲気の人らしい。
さっきとはまるで違った雰囲気で、きっとかっと血が上ってのことだったんだ。