奴のとなり



それでも着て、外に出ると、彼女は満足げにあたしをあらゆる角度から見ると、店員さんに


「この一揃えください!!」


とにっこり笑顔で言った。




一揃えって・・・。



今日は懐が潤ってるとはいえ、コートから服からアクセから靴まで買うお金なんてないよー!!



彼女はすでにレジの前にいて、お会計額を聞いてる。



あたしは慌てて駆け寄り、お財布を開く。



でも、それは彼女の手によって阻止された。



!?



「ここはいいの。この作戦は一条さんのためでもあるけど、私のためでもあるから」


と、いつの間にか冷静に戻ってるらしい彼女は、にっこり微笑んだ。



いやいやいやいや、意味分からないですから!!



財布を取り出し、あたしは持ってるお金全財産を渡した。



受け取る様子も無いから、無理やり押し付けた。










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