奴のとなり
朝の待ち合わせ場所の公園に着いてしまった。
「じゃあ」といおうと口を開きかけて、足を止めて彼を見上げた。
彼はやっぱり不思議そうな顔を見せると、足と止めずに歩き続けた。
急いで後を着いていく。
「ここでバイバイじゃないの?」
「なんで?」
「なんでだろ?」
「行くぞ」
どうやら、奴はあたしを家まで送り届けてくれるらしい。
有無を言わさずに。
奴の髪、後ろの一塊が変なほうに跳ねている。
寝癖?
何かアンテナみたいで可愛い。
奴を後ろから見ないと気づけなかった。