奴のとなり
「これが秘密?」
「いやいや、あれとこれとは違うよ。あっちはまた後でね」
「秘密ってなんだよ」
「秘密を教えたら秘密じゃなくなるだろ」
意地悪ナナミが降臨した。
一樹桃矢はそれっきり不機嫌になって、口をきかなくなった。
話してくれてもよかったけど、あたしは内容を知らないんだし。
ナナミさんは話そうともしないから、お手上げ。
奴も放っておくことにした。
「開けてもいい?」
「もちろん」
綺麗な包装紙を解き、小さな箱を開ける。
宝箱を開けるような高揚感があたしを包む。