奴のとなり
二人並んで歩く。
アスファルトに落ちる二つの長い影が、
何だか幸せそうで、
あたしは携帯を取り出し、カメラに収める。
「何してんの?」と、
首を傾げる奴に、あたしはむふふっと笑う。
待ち受けに設定すると、
不思議がる奴を置いて再び歩き始めた。
赤い屋根、クリーム色の壁の小さな2階建てが、あたしの家。
「ここ」
指差すと、奴はふーんといった雰囲気で家を眺めると、
踵を返したように戻り始めた。
えぇ!?
送ってくれるって言ったけど、そのまんまだな。
「・・・ありがと」
消え入るような小さな声でお礼を言うと
奴は手を少しあげて帰っていった。