奴のとなり
『あら、嬉しいっ。待ってるわー』
朝からハイテンションのナナミさんの声で頭がきーんと痛くなった。
「あっ、このお店!」
お店が見えて、あたしはナナミさんの肩を軽く叩いて、場所を知らせる。
ナナミさんは頷くと、車を駐車場に止めた。
「あれ、ナナミさんも来てくれるの?」
まさかの展開にあたしは驚いてた。
だって、お酒と黒田親子とでお疲れのようだったし。
ナナミさんは煙草にジッポで火を点けると、紫煙を吐き出す。
「面白いものを見逃すのは馬鹿だろ」
そう言って、口の端をあげた。
店のドアを開けると、お姉さんがにっこりと微笑む。