奴のとなり
「桜ちゃーん、いらっしゃい!!待ってたわー」
キラキラの王子様みたいな容姿の癖に、とっても乙女チックに現われた。
「サツキさんっ」
あたしの脳内ではしっかりお姉さんで、勢いよく飛びついた。
「ぶはっ!」
ナナミさんの噴出す音で、あたしは振り返る。
怒ってるというよりは、呆気に取られてる奴と、お腹を抱えて笑うナナミさん。
あたしとサツキさんはむぎゅっと抱きしめあってた。
あっ、男の人だっけか。
そう思って一応離れてみた。
「桃矢さん、こちらがサツキさんです」
「桃矢さん・・・?サツキさん・・・」
名前で呼ぼうって決めたのはいいけど、やっぱり急に言うとなると恥ずかしい。
だから、紛らすために“さん”ってつけてみたんだよね。