奴のとなり
act.10
1.いや、あたし悪くないよ?
お正月の夜って寒い。
ちらほら、ちらほら、触れれば溶けてしまうような雪が空から舞い降りて、あたしはぶるっと身震いした。
セーターにコート。
セーターの内側にはホッカイロまで貼り付けてきたのに、とっても寒い。
あたしはブーツを履いた足を動かしながら、お迎えを待つ。
暗い道の向こうから、奴が歩いてくるのが見える。
あたしを見つけたのか、奴の足取りは速くなって、あたしはそれを見ると嬉しくなった。
「着いたら連絡するって言ったろ」
「そうなんだけどね」
「どうした」
「うん。明けましておめでとう」
「・・・、あぁ、おめでとう」