奴のとなり
act.10

1.いや、あたし悪くないよ?




お正月の夜って寒い。



ちらほら、ちらほら、触れれば溶けてしまうような雪が空から舞い降りて、あたしはぶるっと身震いした。



セーターにコート。



セーターの内側にはホッカイロまで貼り付けてきたのに、とっても寒い。



あたしはブーツを履いた足を動かしながら、お迎えを待つ。



暗い道の向こうから、奴が歩いてくるのが見える。



あたしを見つけたのか、奴の足取りは速くなって、あたしはそれを見ると嬉しくなった。



「着いたら連絡するって言ったろ」


「そうなんだけどね」



「どうした」



「うん。明けましておめでとう」



「・・・、あぁ、おめでとう」













< 392 / 555 >

この作品をシェア

pagetop