奴のとなり
5千円札を放り込んだからだ。
「でぇっ!?」
思わずとんでもない間抜けな声が口を突く。
近くに居た他の人も目を丸くして見てる。
奴は怪訝そうな目であたしを見下ろすと、
「どうした?」
って呟いた。
「だっても、くそも、桃矢くん!?今、ニトベさんがっ」
賽銭箱と財布を交互に指差す。
「あぁ」
「ねっ?間違えたの?結構桃矢くんは天然だったんだね!!あたし見なかったことにできるよ?ケイちゃんにも、ナナミさんにも言わないよ?」
「あ?」
「へ?」
「俺はいつも5千円入れてる。習慣みたいなもんだ」
「そうですか・・・」
「それより・・・」