奴のとなり



奴は目を細めて、笑う。



笑う・・・。



笑った!!



こんなに可愛く笑うこの人を見たこと無いよ!!



携帯に収めたいくらい可愛い!!



あんぐりと口を開けて固まってると、奴の顔はいつもの仏頂面に戻っていた。



さっき一瞬に起こった奇跡みたいな笑顔はなんだったんだ?



不思議に思いながら、二人、境内を後にした。



帰りながら、電車に乗り込む。



終電間際で込み合う人々。



この中もやっぱり着物やら、屋台のものを手に持つ人が多くて、みんな楽しそう。



そんな人間観察をして、にやけるあたしを横目に見る奴。



きっと今呆れられてると思う。



なんだこいつ、みたいなね。



別にいいもん。



そんな奴を無視して、あたしはたこ焼きを口に放り込んだ。













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