奴のとなり
まさか奴がこんな素敵なものをくれるなんて思ってもみなかった。
どっちかていうと、こういう行事に興味なさそうだもん。
それに指輪って柄じゃない。
ちょっと指にはめてみたいけど・・・、小指にならはめられそうだけど恥ずかしいしその姿を見られたくない。
後でこっそり一人になったときにはめてみようと決めて、ネックレスのチェーンを首にか
けた。
「それ」
桃矢くんの小さな呟きが耳に入り、あたしは手を止める。
そのまま奴の顔を見上げた。
奴の視線は首元にあって、それはこの贈り物を指してるんだって分かる。
「これがどうしたの?」
「あぁ、それ指にもはめられるらしい」
「へ?」
「ぴ・・・」
「指に・・・」