奴のとなり
act.2
1.豆は有効か無効か
12月に入って、
ついに冬は日本に腰を下ろして寛ぎ始めた。
もうカイロ無しでは生活できない。
と夏と冬の気温が苦手なあたしは、
このままじゃもたない、
死ぬとばかりに厚着して過ごしていた。
あたしはあれから奴に慣れたのか、
緊張することもなく、
そのせいで寝坊することなく毎日を迎えている。
「おはよ」と挨拶すれば、
きちんと「おはよ」と返ってくる。
あたしと一樹桃矢は相変わらずだ。
普通の彼氏彼女とは違い、
手を繋ぐわけでも、キスをするわけでもない。
ただ一緒に登校して、
一緒にご飯を食べて、一緒に帰る。
休みはたまに一緒に出かける。