奴のとなり



あたしはじっと指輪を見た。



雑誌で見たことある。



ピンキーリングだ。



小指用と判明して、ほっと胸を撫で下ろした。



それに胸を奥がじわっと暖かくなるのを感じた。



指輪の用途が分かったからじゃなくて、いや、それもあるけど。



桃矢くんがあたしのことを心配してくれてるって知ったから。



何にも興味なさそうなのに、気にかけてくれてることが嬉しかった。



「あり・・・がとう」



ちょっと声が擦れた。



本当に、こんなに涙腺が緩くなかったのに。



いつの間にこんな風に弱くなっちゃったんろ。



ぽろりと目から落ちるように流れた涙の雫は座っていた膝に落ちた。



桃矢君は目を瞬かせて固まってる。



ちょっと怖い顔してる。













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