奴のとなり
桃矢くんの反応を見たいけど見たくない。
見つめる先に、桃矢くんの瞳が揺れる。
茶化すでもなく、真剣に聴いてくれてて、真剣に考えてくれてる。
黒髪が瞳の前を過ぎって、あたしは綺麗な顔を見つめてた。
「触るって、触れるだけじゃねぇよな」
その言葉にあたしは頷く。
それだけじゃ足りないんだもん。
理由があるなら話して欲しいし、理解したい。
そんな気がないなら、あたしは少し考えなきゃならない。
答えに桃矢くんは少し目を伏せる。
長い睫毛が影を落とす。
「あたしじゃダメなの?」
あたしに色気は期待できない。
胸はお世辞にも大きいとは言えないし、お尻だって大きくない。
セクシーと言われる人達とは程遠いし、なれそうもない。
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