奴のとなり



携帯を床に置いてため息を吐く。



ありゃあかなり酔っ払ってる。



お酒が抜けやすいとは言え、夕方には二日酔いじゃなかろうか。



不安な先行きに、両手で顔を覆った。



「…ん。…、誰?」



目を擦りながら、桃矢くんが体を起こした。



「お母さん」



「母さん?何て?」



「夕方に来いって」



「じゃあ、まだゆっくりできるな」



そう言うと手を伸ばして体をぐっと伸ばす。
それから少し転がり、あたしとの距離を詰める。



「先に言っとくけど、母最強だから」



「電話聴こえてたから」



「最強だな」



そう言って奴は楽しそうに顔を崩した。












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