奴のとなり



公園は人が少ない。
そりゃそうかもしれない。



春や夏、秋に比べれば寂しい木々たち。
冷たい色をした動きのない池。



みんな出掛けたりしてるんだろ。



ただ定番の常連さんたちはいた。


走るおじさんは目が合うとにっこり微笑んで、「明けましておめでとう」と手を挙げて走り去っていった。


方々に挨拶しながら、あたしたちは池近くのベンチに腰を下ろす。



いつもはよく来ていたのに、あれ以来、悪魔さん以来来ていない。



それでもベンチに座ればしっくりきて、あたしはすぐに馴染んだ。



「温かい飲み物でも買ってくる」



そう言うと、桃矢くんは立ち上がり歩き始めた。



一人で座ってると物思いにふける。



死ぬ訳じゃないけど、走馬灯のようにたくさんの思い出が脳裏を過ぎる。


出会ってから半年以上。



短い期間の割に中身のぎゅっと詰まった半年だった。


すでに何年も一緒にいる気がしてならないし、これからも離れる気がしない。




ある意味運命の出会いだったのかも。



桃矢くん、ケイちゃん、ナナミさん、おばさん、小悪魔さん、数え上げればきりがないほどの人と知り合ってきた。













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