奴のとなり
「小悪魔さん…」
「やだ、久しぶりな名前」
綺麗な仕草で髪を耳にかけると、小悪魔さんは「横いい?」と、隣を指した。
彼女とは顔を合わさないように…って前後の席だから無理だったんだけど…、あたしなりに接しないように頑張ってた。
勝手に勘違いして、キレて、迷惑をかけすぎたから気まずくて。
あたしからきちんと謝らないとって思ってたのに、できなかった。
隣に腰掛けると、「一樹くんとは仲良くしてる?」と微笑んだ。
こくりと頷くと、彼女は頬を緩める。
謝らなくちゃ…。
ずっと分かってたのに、できなかったこと。
今なら言える。
手をぎゅっと膝の上で握りしめ、口を食いしばる。
その間も小悪魔さんはにっこり笑ってあたしを見つめていた。
とても優しい眼差しで。
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