奴のとなり



「とにかく仲直りね」



そう微笑むと、小悪魔さんは何でもない話をしてくれた。



小悪魔さんの気遣い?であたしは何の蟠りもなく、以前のように仲良くなった。



「小悪魔…?」



声が聴こえて、あたしは振り返った。
小悪魔さんは動かない。



片手に飲み物の入った袋を下げた桃矢くんが立っていて、不思議そうに顔をしかめていた。



「あら、小悪魔って呼んでもいいのは桜ちゃんだけよ」



さっきまでの優しい雰囲気はどこへやら。
彼女は威嚇するように冷たい目で奴を見た。



「いや、こいつ知らなかっただけだ」



「何をよ」



「なま「わわわっ!!!飲み物ありがとー!!!」」



いらないことを言いそうな奴の口を慌てて塞ぐように言葉を放った。



せっかく仲直りしたのに、今更名前知らなかったなんて言えない。
また悲しませたくなんかないんだもん。



奴の意地悪そうな目!!
あれはいらないことを言ってくれる目だった。












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