奴のとなり
こうして3人で仲良くご飯を食べながらほっこりとした時間を過ごした。
今まで知らなかった連絡先を交換して、小悪魔さんは去っていった。
帰り際、あたしを引き寄せて耳元に口を寄せて呟く。
「何かあったら連絡するのよ。何もなくても大歓迎だけどね」
妙に艶めいた話し方に同性でもどきりとした
意味は分からない。
でも友達にはなれたらしいし、気にしない。
それから2人でゆっくりした時間を過ごした。
時々小指に目をやる。
一応ネックレスとして貰ったけど、学校じゃない限りは指に着けとこうかと思う。
ほんとは学校でも外したくないけど、既に目をつけられてる先生方の怒りを買いそう。
ぶるっと身震いをすると、奴に訝しげな顔された。
「そろそろか」
携帯を見ながら、桃矢くんは呟く。
「何が?」
そう素直に聞いただけなのに、思いっきりバカかみたいな顔された。
悔しいから殴りつける。
「わかんないから聞いたんじゃんか」
「お前…。今からどこ行くつもりだ」
「今から…?……………っ!?ああっ!!!!」
眉をハの字にすると、ため息を吐き出された。
そりゃあ、あたしが悪ぅございました。
小悪魔さんとの再開で思いっきり吹き飛んでたよ。
そう、今からが戦いなのだ。
「桃矢くんっ!!行くよっ!!」
勢いよく立ち上がるあたしに、桃矢くんは不安げなため息を吐き出した。
「忘れてたくせに」
全くとでも言うように、やれやれ顔された。
夕陽が水面に反射してキラキラとオレンジ色に輝く。
まるで今から何もないよ。と安心させるように。
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