奴のとなり



むふふな宝物を手に入れて、桃矢くんは帰って行った。



多分母が起きるのを待とうとしてくれてたみたいだけど、母が母なだけに無理ってもので、あたしが無理やり追い出した形になった。



それから、桃矢くんは頻繁に家に来るようになる。



母が気に入ったらしく、メールがたまに来ては『今日も遅くなるから、番犬にあいつ呼んでもいいよ。変なことはするなって伝えな』と書いてある。



ご飯を一緒に食べたり、一緒に眠ったり、時には映画を借りてきてみた。



なんだか一緒に住んでるって勘違いするようなくらい一緒で、あたしの横、正面、後ろに桃矢くんがいるのが当たり前になってた。



むしろ、桃矢くんの居ない日は寂しくて死にそうで、あたしは無理やりベッドに早く入った。



もちろん眠れないけど、そんな時には小悪魔さんとメールっていう楽しみがあった。



小悪魔さんもエスパー的要素を持ってる人だから、なぜか、桃矢くんのいる日はメールが来ないし、いない日はちゃんとくれた。



その正確さに驚いたけど、あたしには嬉しい驚きだから気にならない。













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