奴のとなり



これでもかっていうほど、平和な毎日が続いた。



それは冬休みが終わってからも言えることで、学校が始まっても変わらなかった。



あたしは少しずつみんなとの距離を埋めていって、みんなもあたしとの距離を埋めていく。



あたしなりにすごく充実した毎日だった。



「一条さん、呼んでるよ」



普通の日の昼休み、あたしはクラスの子に肩をたたかれる。



ちょっとしたデジャヴ



「ありがとう」



そう言って立ち上がると、小悪魔さんが顔をしかめてるのが目に入る。



首を傾げてると、「如月美香と知り合いなの?」と真面目な顔で訪ねてきた。



なんて言うか複雑で、知り合いだけど、そうじゃなくて…



あたしの表情を読み取ったのか、少し顔が緩んだ。



だけど、妙に空気だけは張り詰めてて、あたしは不安になる。



「何もないならいいの。待ってるし、行ってきたら?」



にっこりいつも通りに笑うから、あたしも安心して待ち人の所に。












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