奴のとなり
ケイちゃんは怒りながら校舎に帰ってしまい、あたしたちは苦笑いするしかなかった。
「キサラギさん、どうしたの?」
「…置いてきた」
桃矢くんの言葉に眉間に皺が刻まれるのが分かる。
だって、だって…。
「そうしてきたから、こうなったんだよ?」
言わずにはいられなかった。
そりゃ、あたしにあんな場面見られるは、立ち去られるはで、仕方なしに放置したのかもしれないけど。
それでも相手にとってそれは関係ない。
今まで、放置しつづけたから問題が大きくる。
「あぁ」
自分でも自覚してるみたいで、桃矢くんは少しうつむいてる。
さらりと前髪があたしの頭を掠めてくすぐったい。
「桃矢くんはあたしとずっと一緒にいてくれるんでしょ?」
「あぁ」
「一緒に居るためにもね。
キサラギさんのためにもなる気がする」
「あぁ」
頷きながら、あたしの頭を撫でる手が優しい。
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