奴のとなり
「皐月さん…」
手に水と果物を持ってて、名前を呼ぶとふわりと笑った
「丸一日寝てたのよ〜?」
心配かけたらしく、皐月さんは手際よく果物を剥くと、オレンジ、林檎、と様々な果物をお皿に載せた
「全く、私が居合わせてよかったわよ」
今の時代に行き倒れなんて嫌じゃない、って皐月は茶化した
倒れたのか
そう言われて、やっと状況を理解した
もう無茶苦茶なのか、何も無くなったのかすらわからなくて、とにかく引っ張り出して欲しかった
どこからなんて分からない
ただ、ここから
「林檎よ」
皐月さんはフォークを持つ手を伸ばして、あたしの口に近づけた
素直に口を開けて、林檎を頬張った
甘い、優しい香りが広がり、涙が零れそうになる
皐月さんの白い腕がのびる
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