奴のとなり
「桜ちゃん!?」
驚いたような焦るような声がして、振り返ったのと同時に皐月さんが視界に入る
「今日って何曜日ですか?!学校行かないとっ」
慌てるあたしをよそに、皐月はおかしそうに笑う
「桜ちゃん、土曜日よ。慌てんぼさんね」
皐月さんの言葉にほっと胸を撫で下ろした
なんだ、土曜日だったのか
最近ふわふわしすぎて、曜日感覚がなくなっていた
急に抱きしめられる
皐月さんって思ったけど、皐月さんは正面で笑ってて、違うらしい
ふわりと優しい香りがして、顔の横にくすぐったい何かがある
「よかったぁー、桜ちゃんもう大丈夫なのね」
声で、綾子さんだってわかった
とっても心配そうな声で、ぎゅっと抱きしめられてるとお母さんにそうしてもらってるみたいで落ち着く
「ありがとう」
たくさんかけた迷惑と、たくさんの感謝を込めてそう呟いた
綾子さんは子犬にそうするように髪をかき混ぜてあたしを撫でくりまわした
「桜ちゃん可愛い」
むにむにほっぺをつまみながら、にやりと笑う
綾子さんは綺麗だった
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