奴のとなり



小さくあたしの体が震える



震えを抑えるようにして、足早に職員室を目指した



入ってすぐに、担任の先生を見つけ、担任の先生にいっぱい謝って、体調が悪かったのだと伝えた



間違ってはいないから



教室に行くまで、周囲の視線を感じる



桃矢くんと距離を置き始めてから感じる視線



気にしてなかったのに、今はひどく痛い



もう帰りたくなってた



まだ授業始まってもなかったのに



教室に入ると、さっきよりも身近な分、視線はさらに強くなった



小悪魔さんはあたしを見るなり、妖艶な笑みを浮かべて、今から地獄が始まる予感を漂わせてる



「おはよ。ごめんなさい、心配かけちゃって」



小悪魔さんは顎に手をついたまま、口元だけ笑う



「いいの、一条さんが無事ならね。それより話たーっぷり聞かせてもらうからっ」



楽しげに目を細める



あたしは一瞬ちかりと視界が歪んで見えて、首を振って頭を覚醒させる



久しぶりの学校に頭がついて行かないんだ



そう思いながら席に着いた












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