奴のとなり



「ねぇ、話今聞きたい。ここじゃなんだし、場所変えましょ」



軽やかに立ち上がるとあたしの手を掴む



「ちょっ!?神崎さんっ!無断欠席でしこたま叱られたのに、殺されちゃうよ!!」



慌てて、教室を出て行くのを反対すると、小悪魔さんはしれっと言う



「あら、今更でしょ。それにいつもの呼び方でいいのよ?」



小悪魔さん



彼女をこっそりそう呼んでたことは、もう本人にもバレてる



でも、さすがに…ね



手を掴んだわりには、ゆっくりとした歩調で廊下を歩く



すっかり冬で、廊下は最強に冷気でいっぱいだった



黙々と連れて行かれたのは、何故か保健室で、あたしはここで話しをするのかと驚いた



開けて入ると先生がいて、二人の顔をみてにっこりと笑う



「あら、どうしたの?」



「ちょっと体調が悪いみたいで…、寝かせていただいてもいいですか?」



小悪魔さんはそう言うと、先生の顔を見た



小悪魔さん体調悪かったのに、あたしが今日から学校行くって言ったから教室で待っててくれたのかなぁ…



申し訳なくて、あたしは肩を落とした



「さっ、一条さん寝て寝て」



くいっと腕を引いて、あたしをベッドに入れる



「へっ!?神崎さんが寝てなくていいの?」



予想していなかった展開で、あたしは言われるがままになるしかない



「早くしないと、サボってるってバレちゃうじゃない」



小悪魔さんは慌てたような、先生をちらりと見やった











.
< 472 / 555 >

この作品をシェア

pagetop