奴のとなり
「そうねぇ…何から話せばいいかわからないけど、ずっと連絡を取り合っていたの。桜ちゃんがうちに来たときから。だから、私の家に居てもかずちゃんが押しかけて来なかったし、今日も待たされてないのよ」
「えっ…」
サツキさんのお家に居たときから…?
確かに何も言わずに…、って金曜日と勘違いしてたからたくさんの人に迷惑かけてないと思っていたからなんだけど
桃矢くんが距離を置くと言ったんだから、桃矢くんにも伝える気がなかった
なんかね、むちゃくちゃになって倒れちゃった
目が覚めたらね、サツキさんちだったの!
なんて言えないし
ちょっと慌ててくれたらいいとすら思っていたぐらいだった
あたしだけ、こんな状態で何で?って思ってた
「でも大変だったのよ〜。かずちゃ「桜」」
「なに?」
「何でもない」
「かずちゃんがねぇ、ずっと「桜」」
「なによ?」
「別に」
………
「ぷっ」
「笑うな」
知った風な二人
あたしだけ仲間外れ
サツキさんが口を開こうとする度に、桃矢くんはあたしの名を呼ぶ
意味もなく
桃矢くんに呼ばれるのは嬉しいけど、人の話を遮るってどうなの?
「次、意味もなく呼んだら絶交だからね!」
「…っ!?」
無表情な顔に焦りが見える
びっくりしたようにあたしを見ると、少し視線を逸らした
どうやらやましいことがあるらしい
あたしには言えないような
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